想いと資産を未来につなぐ、戸建再生プロジェクト

売却・活用サポート事例|2024年完了
今回ご相談いただいたのは、築50年の戸建が建つ200㎡超の敷地に関するご相談でした。
「売却して整理するべきか?」「収益物件として活かせるか?」
そんなお話からスタートしましたが、お話を重ねる中で、いくつかの大切な想いに気づかされました。
- ご高齢のお母様が現在は施設に入所しているが、「いつか戻ってきたい」という希望を持っておられること
- ご子息も、いざという時のために「残しておきたい気持ち」があること
- ただ、今のままでは資産が眠っていて、手元資金が不安になってきているという現実
そして、どんどん朽ちていく木造戸建。一体なにが出来るかを一緒に考えるところからスタートしました。
不動産会社にとっては、売却が一番シンプルな選択肢かもしれません。
私たちは、「どうすれば、このご家族にとって一番良い未来がつくれるか」を軸に、再構築のプランを考えることにしました。
以前のお客様からのご紹介だったので、さらに気持ちも想いも強く、何とかしたいという気持ちでいっぱいでした。
この土地は都心ではなかなか出ない好立地でしたが、
開発を進める上では複数の法的・物理的ハードルがありました。
調査で見えた課題と、ひとつずつ向き合ったこと
❌ 接道要件の問題
片側は見た目は道路に見えるのですが、実際は建築基準法上の道路ではなく、私道かつ他人所有。
もう一方も建築基準法第43条の「3項道路」でしたが、公図上の形状により接道していない土地扱い。
え….どうしよう…と夢にも出てくるほど当時は悩む案件となりました。
接道していないと土地の価値はだだ落ちなのです。
このまま不動産会社に売っても、相場の3割程度でしか売れないので、必死で考えました。
❌ 隣地との越境や埋設物の問題
・水道管が敷地内に越境して埋設されていた
・反対側の塀が越境しており、将来の売却にリスク
トラブルは続くものです。誰も知らなかった隣地の水道管越境という問題。
意外とよくあるのですが、いざ越境を解消するとなるとなかなか大変なことです。
✓ 私たちが選んだ解決のアプローチ
- 私道の所有者宅へ何度も訪問し、信頼関係を築きながら土地の購入交渉
(初回は名刺だけポストへ、2回目はどら焼きを持参して直接お話へ) - 建築許可が通る土地条件を整備
- 水道管は隣地の方と協議のうえ、弊社手配で引き直し工事を実施
- 塀の越境については覚書を交わし、将来の建替え時に解消できるよう整理
- 接道問題をクリアしたうえで土地を分筆し、一部を売却、一部を建築用地に確保
リストにすると5行で完結するのですが、現地には15回通いました。
反対側の私道についても、当初は利用予定がなかったため持分取得は不要と判断していましたが、将来的な資産価値や売却時の円滑さを考慮し、あえて交渉のうえ持分を取得することにしました。
特に私道のもう一人の所有者からは掘削・通行の承諾が得られず、ご連絡や折り返しも難航する状況だったため、所有権を取得することで、自らが“許可を与える側”となり、安定した権利関係を構築しました。この判断は、結果的に大変有効だったと感じています。
また、事前にお客様から「いくらまでなら交渉可」という上限をお預かりしていたため、その範囲を超えないよう丁寧に調整しながら、納得いただけるかたちで交渉を成立させることができました。
最初は隣地の方にも怪しまれましたが、何度も通ううちに「お疲れさま」「今日も来てるの?」「大変だね!頑張ってね」と声をかけてもらうことが増えました。
この案件でもたくさんの「自信」をつけさせてもらいました。
ご家族の想いを形にするための提案
お母様の「戻れる場所を残したい」という想いを尊重し、
当初の木造アパート案から、戸建を建てて定期借家として貸し出すプランへ変更しました。
これも我ながら名案だったと思います。
- 売却で得た資金は、施設入所時の一時金として活用
- 残った資金でバリアフリー対応・ゆとりある設計の戸建を建築
- 月々の家賃収入で、約25万円のキャッシュフローを実現
- 将来的には、マイホーム用途で売却可能な資産として残すことに
資産価値の向上により、すでに大きな評価益が見込まれており、ご家族の安心につながる再構築が実現しました。
設計・建築のこだわりも、“未来を見据えた視点”で
ハウスメーカー3社と打ち合わせを重ね、最終的にはコストパフォーマンスのよいハウスメーカーと契約。
賃貸でも実需でも選ばれる設計を目指しました。
- 家事導線のよい間取り、収納豊富で広々リビング
- お子様がいる世帯も想定し、EV対応の駐車場や外構計画も配慮
- 外壁や床材は、メンテナンス性とコストのバランスを重視
- バリアフリー設計や主婦目線の動線など、細部まで伴走してご提案
この打ち合わせも合計5回ハウスメーカーと打ち合わせを重ねました。
プロジェクトを終えて
ご相談いただいてから、完了まで約1年8ヶ月。
土地の整理、建築、賃貸付けまで一貫してお手伝いさせていただきました。
結果として、このプロジェクトで実現できたのは:
- お母様の安心を支える手元資金の確保
- 月々安定したキャッシュフローの創出
- 未来に引き継げる実需価値の高い資産の形成
不動産を「売るか/建てるか」ではなく、
「人の想い」と「資産」を未来へつなぐことが、私たちの役割だと改めて感じた案件でした。
今もご家族とは良い関係が続いており、
「頼んでよかった」と言っていただけることが何よりの喜びです。
イーエム・ラボは、不動産の売却・活用・相続・建築・交渉まで、
お客様の想いに寄り添いながら、総合的にサポートしています。
「どうしたらいいかわからない」
「どこに相談していいか迷っている」
そんなときこそ、ぜひ一度ご相談ください。
私たちは、マニュアル通りの仲介ではなく、ひとつひとつのご相談に丁寧に向き合いながら、“未来へつなぐ不動産”のかたちを一緒に考えていきます。
これが、私たちイーエム・ラボがご提案するオーダーメイド仲介のスタイルです。